高校の頃、とても気の合う友人が居た。
とても仲が良く、いつも学校では行動を共にしていた。

そんな友人といつも通り過ごしていた高校3年の夏の放課後、事件は起こった。
校内暴力。
友人が加害者だ。
友人が別の友人に嘘をつかれて、それが勘に障ったらしく、その嘘をついた友人を殴った。

俺はすぐそばに居た。
止める事が出来なかった。
友人がやや気性が荒い性分なのは知っていた。
いざとなったら止める気もあった。
だが、実際目の前でぶち切れた友人を止める事が出来なかった。
その勇気が出て来なかった。

その翌日、友人は2週間停学処分となり、俺は先生に事情を聞かれた。
その事情を聞き、先生は少し考えるように俯きになった後、こう言った。
「あいつが停学が解けて学校へ来たら、いつも通り接してやってくれ」
先生が何を察しているのかがすぐに分かった。
たった一度とはいえ、暴力を振るった事は学校中にすぐに広まる。その「暴力を振るった」という事で、周りが友人を避けるのではないか?
いや、確実に避けるだろう。だからこんな事を言ったのだろう。

俺が友人を嫌う理由なんて無い。
何故なら、俺が友人を止めていれば友人は暴力を振る事は無かった。停学になんかならなかった。半分は、止めなかった俺のせいだから。
むしろ、友人がそんな俺を受け入れてくれるかが心配だった。

友人が停学期間が解け、登校して来た。
俺は勇気を出して友人に話しかけた。
友人は、普通に、素直に挨拶をしてくれ、いつも通り接してくれた。
ただ、暴力事件を振り返って、友人はこう言って来た。
「なんで止めてくれなかった…いや、俺が悪いんだがな。」

この一言を聞き、俺は固まった。
信じられていた。そして、それを裏切ってしまった。
頭の中で罪悪感がわいた。
そして、友人にこう誓った。
「次にお前が切れた時は全力で止める。だから、切れるにしても俺が居る時だけにしろ」

友人は「分かった」と言って授業を受けに教室に戻った。

その後、卒業間近の1月半ばまでは何もなかった。
1月半ばまでは…。

俺が居ない場所で友人は暴力行為をした。
それがきっかけで、友人は自主退学したと先生から聞く。


あと1ヶ月で卒業だったのに…。

俺が最初、あの時に止めに入っていれば、こんなことにならなかっただろう。

それ以来、その友人の顔を見ていない。


もし、彼に会うことがあったなら…
「すまなかった」
と一言、言いたい。

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